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ヴェネツィアの宿 須賀敦子 [読書]

ヴェネツィアの宿―須賀敦子コレクション

ヴェネツィアの宿―須賀敦子コレクション

  • 作者: 須賀 敦子
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2001/10
  • メディア: 新書


ベネツィアの宿ではじまり、オリエントエキスプレスで終わるこのエッセイ集は、須賀敦子の随筆としては珍しく、ヨーロッパでの留学生活とともに、彼女が生まれ育った戦前戦後の日本がかかれています。家族、とりわけ戦前のヨーロッパを漫遊し歩いたという父親との関係が全体の軸になっていますが、12話それぞれが短編映画のように完成されています。

 作者と身近な人物の係わり合いを通して、作者の人生をたどっている気になります。戦前の上流階級、カソリックの寄宿舎学校、戦後間もない時代に女性一人での海外留学、というのは、やはりこの人のバックボーンとしてはずせないのもわかります。(私の頭の中のイメージではオノヨーコとオーバーラップする部分もあるんですが、話しかたとか実際はどうだったんでしょうね。)

 他のエッセイと同じく、みがきあげられた言葉に感動します。個人的には、吉田秀和、沢木耕太郎、村上春樹、小川洋子といった人たちと並んで大切な文章家です。

 60歳をすぎてから書き始められたというたった数冊のエッセイ。そのすばらしさと須賀敦子という名前を自分が意識したころには、作者は既に亡くなられていました。この一冊も、大事に大事に、おりにふれて読み返したい本です。

ps. 11/5に”須賀敦子に導かれて 足跡たどるイタリアの旅”という番組がBS朝日で放映されるそうです。うちではデジタル受信機がないので見れません。残念!


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コメント 1

sacro-bosco

photoに遊びに来てくださってありがとうございました。
どんな方なのかなぁ…と、プロフから伺ってみたら、
大好きな須賀敦子を取り上げてらして嬉しく思いました♪
静謐で無駄のない文体はアコガレです。
by sacro-bosco (2007-02-10 23:36) 

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